軽架線システムのための架線張り解説(3)

3.集材路を伐開する

 

今回は、集材路の伐開についてのご説明です。

 

架線(空中を張ったロープ)によるシステムでは、支柱と支柱の間を真っ直ぐに架線を通す必要があり、この直線軌道に沿ってある程度の幅を持った空間を作る作業が発生します。

この細長い空間を通って材が移動しますので、集材路(しゅうざいろ)と呼びます。

 

また架線の軌道そのもののについては線道(せんみち)と言ったりしています。

集材路を伐り開く、あるいは線道に沿って伐り開く作業が今回のテーマです。

 

ではどれぐらいの幅にすればよいのか=伐開幅(ばっかいはば)、言い換えるとどこまで残存木を残せるのか、といったことも念頭に置いていただけると良いかと思います。

 

(注意)以下数字を使ったご説明がありますが、架線集材のサイズによって多少異なってくるかもしれませんのでご了承ください。ちなみに、固定索(主索または本線とも呼びます)にΦ9㎜前後のワイヤーロープで行った、経験値的なものと捉えていただければ幸いです。

 

 

 

この図では、濃いグレーで示した場所が集材路です。

集材路を伐開するときは、残すべき支柱に気をつけてください。

支柱のご説明は前回ブログで書かせていただきましたのでご参考ください。

 

また後述する予定ですが、控索(ひかえさく)が必要になるケースでは、控索アンカーとなる立木(または切株)も残すよう気をつけてください。

 

 

■ 伐開幅(ばっかいはば)はどれぐらいか

 

伐開幅は横取り(よこどり)を行うか行わないかで多少違ってきます。

横取りとは、固定索(主索、本線とも呼びます)の横幅方向に外れたところから材を寄せてくることをいいます。

 

  • 横取りを行わず、線下(せんした、固定索の真下)にある材だけを集材してくるなら、伐開幅は材を抜き通せる幅でかまいません。
  • しかし横取りを行う場合は、固定索のタワミを考慮に入れ、伐開幅を広めにとる必要があります。

これは、横取りをしている最中の架線のタワミをイメージしていただけると分かります。

 

 

この図は、元柱から見た横取り作業のイメージです。

このように、横取り中は固定索が大きくたわみます。

材の接地摩擦が大きな抵抗になるためです。

とくに固定索の中央部(先柱~元柱の中点)で行う横取りのときにタワミが最大になります。

 

 

ではタワミの量(幅)はどれぐらいなのか?

架線を横から・上から見たイメージを使って考えたいと思います。

 

 

少し前提条件のお話をします。

通常、架線システムにおいては固定索(主索、本線とも呼びます)を「無負荷時の中央垂下比が3~5%」に緊張させて使います。

分かりやすくいうと、荷重がかかっていないときの固定索のタワミが、支柱間の長さに対して、中央部(支柱間の中点)のところで垂下した(垂れ下がった)長さの比率が3~5%程度になるようにするのが一般的です。

これは上側の図(横から見た固定索のタワミ)に示したとおりです。

 

それをふまえ、下側の図(上から見た、横取り時の固定索のタワミ)をごらんください。

横取り時のタワミは10%程度になります。

10%と大きくなるのは、荷重分と同じぐらい摩擦抵抗が働くためです。

 

例えば支柱間の長さが50mの場合は、横取り時のタワミは横方向に5mほどになります。

したがって、伐開幅は、横取りする方向につき5mとる必要があります。

そして横取りすべき材が固定索の両側にあるときは、両側に5m、すなわち伐開幅は10mとる必要が出てきます。

※ただし単純に長方形状の帯にする必要はなく、楕円形状の伐開でよい訳ですから、中央部はしっかり伐開しても支柱近くはだいぶん残すことができます。

 

案外広くなってしまう印象を持たれたかもしれませんが、このように横取り時のタワミを最初から想定しておかないと後で困ることになるかもしれません。

※架線を張ってしまった後でも、固定索の緊張をゆるめ完全に地面に落とせば伐倒し直すことは可能です。

 

 

(追記)横取りの進路を指定できるか

 

 

ここから宣伝になります。

 

上図のように、横取りの経路近くに残存木があり、その間を抜くようにして横取りしたい場合には、横取りの進路(または固定索への進入角度)を指定する必要があります。

これをするには、横取り中の搬器位置を固定しておく必要があります。

従来の軽架線システムではこれは無理(※)でしたが、HANAKO(弊社開発の搬器)がこれを可能にしました。

 

 

軽架線システムに対応した次世代搬器HANAKO

HANAKOは独自の制動原理で、搬器位置と材の運動方向を制御します。

軽架線システムにおける「動力が1つ」という前提条件をそのままに、HANAKOがこうした運動を可能にしました。

 

HANAKOの登場により、伐開幅を無駄に広げず、残存木を犠牲にせずピンポイントで集めてくることが可能になりました。

こうしたニーズがある場合にはぜひご検討ください。

 

(※)厳密には上げ荷の場合には条件付きで搬器位置を指定することが可能です。

ただし搬器位置は、傾斜角、搬器重量、荷の重量、倍力の数によって複雑に変化しますので、経験則で憶えていくしかないのが現状です。

 

 

 


 

今回はここまでです。

次回(4)は、「固定索を設置する」ことについてご説明する予定です。

軽架線システムならではの資機材なども登場しますので、あわせてご紹介する予定です。

ここが一番関心があるところかもしれませんね。

 

お付き合いくださいましてありがとうございました。

 

なお前回ブログをご覧になりたい方は以下にございます。

 

 

軽架線システムに適した地形について説明しています。

 

 

架線張りに使用する支柱(立木、株)について説明しています。

 

どうか合わせてお読みください。