軽架線システムのための架線張り解説(4)

4.固定索の設置 - 先柱に取り付ける

 

今回から固定索(主索、本線とも呼びます)の設置方法の説明に入ります。

最初に行うのが、先柱(さきばしら)への取り付けです。

 

 (注意)以下数字を使ったご説明がありますが、架線集材のサイズ感によって多少異なってくるかもしれませんのでご了承ください。ちなみに、固定索(主索または本線とも呼びます)にΦ9㎜前後のワイヤーロープで行った、経験値的なものと捉えていただければ幸いです。

 

 

事前にアイ加工しておく

 

先柱への取り付け作業を行う前に、ワイヤーロープ(固定索)の一端をアイ加工しておきます。

アイ加工とは、ロープの端にアイ(eye、目)を作ることをいいます。

ワイヤーロープのサイズにあったワイヤークリップを4つ(以上)取り付けてください。

4つ取り付けることで、ワイヤーロープが抜けたりアイが縮まっていかない十分な摩擦力が得られます。

 

ワイヤークリップには向きがあります。

U字ボルトが、子側(端のある側)のロープを受けるように取り付けてください。

俗称ですが、「U子ちゃん」と憶えておくと忘れません。

 

ワイヤークリップの間隔は、ロープ径の6.5倍(以上)にします。

Φ9㎜ロープなら、だいたい60㎜(6センチ)です。

 

 

電動インパクトドライバーがあると便利

 

ワイヤークリップの締め付け作業は割合時間がかかります。

固定索の端以外にも、アイ加工のカ所はいくつかあります。

 

スパナやレンチでもかまいませんが、電動インパクトドライバーが便利です。

クリップ1つごとに2つのナットをバランスよく締め付けていく手間は意外とかかるものです。

インパクトドライバーは時短になるのみならず、音の様子で締め付けの強さを知ることができます

 

 

ベルトスリングを使って先柱に固定

 

先柱への取り付けには幅50㎜のベルトスリングを使います。

幅50㎜は強度的に安心という以上に、樹皮をいためない効果があります。

それをふまえ、支柱に巻いたときに捻れ(ねじれ)を起こしていないかチェックしてください。

 

 

シャックルは十分余裕があるサイズを使う

 

固定索には荷重の5倍程度の張力が働くとお考えください。

材が100kgfでしたら、固定索には500kgfの張力が働きます。

シャックルはギリギリの使用荷重のものではなく、十分余裕があるサイズのものをお使いください。

ギリギリのものを使うと、Uの部分が力負けして開いてしまい、ピンボルトが抜けなくなって撤収のときにとても困ることがあります。

 

 

ラダーと安全帯はセットで使用

 

取り付け位置が高いときは、ラダー(はしご)を使います。

地形的に恵まれている場合をのぞき、だいたいにおいて取り付け位置は手の届かない所にあります。

ラダーを使えば、ラダーの長さ+2メートル分(身長+手の長さ)までは手が届きます

ラダーが2メートルなら取り付け高さは最大4メートルです。

 

取り付け作業は両手を使える状態にするため、ラダーに登るときは必ず安全帯を付けてください

 

 

 

■ (応用)切株に取り付ける

 

地形に恵まれ、固定索の地上高が十分に確保できる場合は、取り付け位置を低くすることができます。

その場合、切株に取り付けることも可能です。

ただし、切株は伐ったばかりのものにしてください。

 

実は取り付け位置が低くなるほうが、強度的にも安心です。

なぜなら、先柱が固定索の張力によって引き倒されるリスクが小さくなるからです。

地形の利とはこのことです。

架線を張るときにまず地形を確認する(最初の回のブログで説明)のが大事だということがお分かりになるでしょう。

 

 

 

■ 先柱の強度を確認する

 

先柱への取り付けは完了しましたが、これで大丈夫ということではありません。

先柱には大きな力がかかりますので、強度を確認しておきましょう。

 

 

固定索には、最大で荷重の5倍程度の張力がかかることを思い出してください。

テコの原理で、これが先柱を倒す力になりえますので注意が必要です。

 

次の場合には注意が必要です。

  • 先柱が細い
  • 取り付け位置が高い

この点で先柱の強度に不安があり転倒する恐れがあると感じたときは、転倒防止策を講じましょう。

転倒防止策には、控索(ひかえさく)を取り付けますが、これは次回ご説明します。

 

 

 

■ 資機材リスト

 

以上、固定索を先柱に取り付ける作業についてご説明しました。

この作業に関して、使用する資機材は以下のとおりです。

 

(補足)

アイ加工をした固定索の端には大きな張力が働きますので、そのままですとアイが潰れてしまいます。

この潰れはクセになって残りますので、避けるためにはシンブル(ワイヤーコース)を使います。

アイ加工する際に、アイの内側にこれをはめてからワイヤークリップを締め上げるアイの形が保護されます。

サイズがいろいろあるので、ワイヤーロープの径にあったものをお使いください。


今回はここまでです。

次回(5)は、「固定索の設置 ー 控索で先柱を補強する」ことについてご説明する予定です。

 

お付き合いくださいましてありがとうございました。

 

なお前回ブログをご覧になりたい方は以下にございます。 

 

軽架線システムに適した地形について説明しています。

 

 

架線張りに使用する支柱(立木、株)について説明しています。

 

 

集材路の伐開について説明しています。

 

どうか合わせてお読みください。