5.固定索の設置 - 控索で先柱を補強する
今回は、先柱の転倒を防止するための、控索(ひかえさく)の取り付け手順を説明します。
控索はガイラインと呼ぶこともあります。
控索は補強のためですので、必要がなければ省くことができます。
補強のための作業にもかかわらず、固定索の取り付け以上に手間がかかりますので覚悟してください。
高所作業も発生しますので気をつけて行います。
■ 一端は先柱へ

控索は、先柱の転倒方向とは反対方向(この場合張力と反対方向)に取り付けます。
控索には、ワイヤーロープを20メートル(1本あたり、前後でOK)に切っておくと便利です。
太さは固定索と同じか、少し細めのものでもかまいません。
控索の一方の端はベルトスリングを巻いた先柱に取り付けます。
取り付け位置(ベルトスリングの高さ)は固定索の上側が望ましいですが、難しければ下側でも大丈夫です。
取り付け方は、先柱に固定索を取り付けたときと同様、事前にアイ加工しておいた端部をシャックルを介してベルトスリングで繋ぐ要領です。アイ加工の方法は、前回ブログをご参考ください。
■ もう一端はアンカーへ
控索のもう一端は、控索アンカー(立木または切株)に巻き付けます。
先柱の揺れ(倒れようとする動き)にともなって、控索が強く緊張しますので、立木の樹皮を保護する必要がある場合は、当木(あてぎ)を取り囲むように巻き、その上から控索を巻き付けるようにします。
この作業は固定索がゆるんだ状態(緊張させていない状態)で行ってください。

当木には端切れ板や太枝などを使うと良いでしょう。
当木の仮留めは図のとおり。控索を巻けばしっかり固定されますので、仮留めにはPPロープで十分です。
当木の調達は事前に行っておくとよいでしょう。
当木の代わりに使い古した毛布なども用を果たせます。
■ アンカーへの取り付け手順
アンカーへの控索の取り付けにウインチは使いません(必要はありません)。
転倒防止が目的ですので、控索をことさら強く緊張させておく必要はないためです。
この作業は固定索がゆるんだ状態(緊張していない状態)で行います。
ここでは人力でほどほどの緊張を作り出すための手順を追って説明します。
①強く引きながら(人力で可)、アソビを取り除き、アンカーを2~3周回します。
それ以上回すと摩擦が大きくなりアソビを取り除きにくくなります。
2~3周すれば十分に摩擦力を得られますので、次の作業に移りやすくなります。

②ワイヤークリップを取り付けます
ワイヤークリップは4つ取り付けますが、うち外側3つは堅締めし、内側の1つは緩い状態にしておきます。

③内側のワイヤークリップを動かしてロープを引き締めます
緩く締めてあった内側のワイヤークリップをアンカー側に寄せるとロープが引き締まります。

■ 控索は2本または3本必要
さて控索は何本必要になりましょうか。
固定索の張力の働き方は一様ではなく、横取りすると方向が変わります。すると先柱を(前後方向ではなく)横方向に倒そうとしますので、先柱の左右にも気を配っておく必要があります。
アンカーとなる立木や切株もたいていは理想どおりに配置されていませんので、安全を見て控索の本数を増やす判断も柔軟に行うようにしてください。

控索は最低2本(控索a、b)必要です。
a-bの角度を大きくすることで、横取りに伴う転倒を防止することができます。
その代わり固定索の張力への抗力が減ります。
その不安があるときは、a-bの角度を広めにとった上で、3本目の控索cを取り付けます。
以上で控索の取り付け作業は完了です。
これにより先柱の転倒リスクを減らすことができました。
■ 資機材リスト
以上、控索で先柱を補強する作業についてご説明しました。
この作業に関して、使用する資機材は以下のとおりです。

今回はここまでです。
次回(6)は、「固定索の設置 ー 元柱に掛けてアンカーに繋ぐ」ことについてご説明する予定です。
お付き合いくださいましてありがとうございました。
なお前回ブログをご覧になりたい方は以下にございます。
軽架線システムに適した地形について説明しています。
架線張りに使用する支柱(立木、株)について説明しています。
集材路の伐開について説明しています。
固定索を先柱に取り付ける方法について説明しています。
どうか合わせてお読みください。