軽架線システムのための架線張り解説(7)

7.固定索の設置 - 控索で元柱を補強する

 

今回は、元柱の転倒を防止するための、控索(ひかえさく)の配置について説明します。

控索はガイラインと呼ぶこともあります。

控索は補強のためですので、必要がなければ省くことができます。

 

取り付けの手順については、以前のブログ(5.固定索の設置 - 控索で先柱を補強する)をご参考ください。

今回ご説明するのは、控索の配置の考え方についてです。

 

ともあれ元柱に対して控索の配置が必要なのは、元柱の強度に不安がある場合です。つまり、

 

  • 元柱が細くて倒れる危険がある
  • 固定索の取り付け位置が高く倒れる危険がある

 

などの場合です。このような場合には転倒防止策として控索が必要になります。

 

 

 

■ 控索を張る方向に注意

 

ただし、控索は外側に向けて張られるとは限りません。

 

→「先柱」を補強する控索は外側に向けて設置するように説明しました(以前のブログ(5.固定索の設置 - 控索で先柱を補強する)での解説)。これは先柱を転倒させる力の向きが内側方向(=元柱方向)に決まっているためです。

 

 

 

元柱の場合は、控索を張るべき方向が一律に決まりません。

固定索がアンカーまで伸びているため、固定索の張力が元柱の両側に(内側にも外側にも)働くためです。

このことをふまえ、

控索を張る方向は、固定索が成す角度に注目して決めるようにしてください。

したがって、以下は次の2つの場合に分けて説明します。

  • (固定索の)先柱側の角度が大きく開いている場合
  • (固定索の)アンカー側の角度が大きく開いている場合

 

力学の法則に変わりありませんが、机上では分かっているつもりでもいざ現場に立つと、立木を見上げる格好になり、状況判断が狂ってしまうことがあります。これは目線が変わってしまうためです。そういうときは「離れてものを見る」よう心がけてください。

 

 

■ 先柱側の角度が大きく開いている場合

 

固定索と元柱の成す角度が、先柱側の角度が大きく開いている場合です。

下図のとおり、角度a >> 角度b となる場合の、元柱の両側(内側と外側)に働く張力の合成力を考えてみましょう。

 

 

このように合成力は、内側(先柱側)に向きます。

したがって、元柱は先柱側に倒れるリスクを負うことになります。

 

 

【対策】

この場合の転倒防止策は、外側(アンカー側)に控索を配置することです。

 

【理由】

控索により合成力と反対向きの抗力が発生し、元柱を倒す力が打ち消されるため。

 

 

■ アンカー側の角度が大きく開いている場合

 

反対に、固定索と元柱の成す角度が、アンカー側の角度が大きく開いている場合です。

下図のとおり、角度a << 角度b となる場合の、元柱の両側(内側と外側)に働く張力の合成力を考えてみましょう。

 

 

このように合成力は外側(アンカー側)に向きます。

したがって、元柱はアンカー側に倒れるリスクを負うことになります。

こうしたケースは、アンカーとなる立木が高い所にある場合におきます。

 

 

【対策】

この場合の転倒防止策は、内側(先柱側)に控索を配置することです。

 

【理由】

控索により合成力と反対向きの抗力が発生し、元柱を倒す力が打ち消されるため。

 

【注意】

なおこの配置になると、控索が集材路の目的地を通ることになったり、通路を阻んでしまうことがあります。

必要であれば、元柱から選び直し、固定索や控索のアンカー類や向柱の再検討なども行ってください。

 

 

 

 

 

以上、控索の配置の考え方について説明しました。

集材路を伐開した後では、候補となる支柱が限られてしまいますので、控索の必要性の検討は、支柱選びの段階で行っておくようにしましょう。

 

 

■ 控索を設置し、補強状態を確認する

 

控索の配置方向が決まりましたので、控索アンカー(立木または切株)を決め、控索を取り付けます。

取り付けの手順については、以前のブログ(5.固定索の設置 - 控索で先柱を補強する)をご参考ください。

 

【補強状態の確認を】

控索を設置しおえたら、チルホールを漕いで固定索をよく緊張させ元柱が傾いてこないことを確認してください。

傾いてこなければ控索の抗力がうまく作用している証拠です。

 

 

■ 控索があれば万全ということではない

 

控索が仮に適切に配置されていても、万全ということはありません。

上の対策の図で見るように、控索による抗力は立木を倒す力(前後左右に向かう力)を打ち消しますが、立木をつぶそうとする力(地面に向かう力)を打ち消すことはできません。

なお、控索をどんなに理想的に配置しても、木をつぶす力は打ち消すことはできません(原理的に不可能)。

 

よって、太さが十分ではない木など、つぶれる危険のある木は元柱として避けるべきです。

このことは先柱についても同様にいえます。

 

 

■ 資機材リスト

 

以上、控索で元柱を補強する作業についてご説明しました。

この作業に関して、使用する資機材は以下のとおりです。

 


 

今回はここまでです。

次回(8)は、「動力を設置する」ことについてご説明する予定です。

 

お付き合いくださいましてありがとうございました。

 

なお前回ブログをご覧になりたい方は以下にございます。 

 

軽架線システムに適した地形について説明しています。

 

 

架線張りに使用する支柱(立木、株)について説明しています。

 

 

集材路の伐開について説明しています。

 

 

固定索を先柱に取り付ける方法について説明しています。

 

 

控索で先柱を補強する方法について説明しています。

 

 

固定索を元柱とアンカーに取り付ける方法について説明しています。

 

どうか合わせてお読みください。