EyeEyeは架線集材用の搬器です。ここでは架線の設置とEyeEyeの設置について説明します。
(用語)
固定索:元柱と先柱をつなぎ、搬器EyeEyeを支持するロープ。
動索:動力とフック(荷)をつなぎ、荷を動かすロープ。
EyeEyeは2倍力、3倍力、および4倍力のいずれかで荷を牽引することができます。
倍力の数によって動索の配線方法が変わりますが、要領をつかめば簡単にできます。
3倍力のときのみ、動索の端はアイを作り、シャックルを使って動滑車に繋ぎます。
倍力のしくみにはメリットとデメリットの両面があります。
倍力を使うと確かに小さな力で大きな荷を動かすことができますが、倍力の数を増やせばよいというものではありません。
「倍力の数を増やすと、かえって負担が増える」こともあります。
まず、倍力を使う重要な目的は端(はな)上げだということです。
一般的に次の性質があります。
しかし他方で、倍力にすると搬器と荷(動滑車)の間でロープが往復するため、次のようなデメリットもあります。
またこんな困った問題も起きます。
荷を下ろそうと動索を弛めると(集材機を逆転すると)、荷を宙吊りにしたまま元の方向(谷側)に戻ろうとするのです。何らかの強制手段で搬器を係留させない限り、宙吊りになった荷を同じ場所に下ろすことはできません。いったん宙吊りになると、荷が地山に接地する地点(地面が盛り上がり固定索に近づいているところ所)まで荷を下ろせなくなります。
これらの性質を踏まえたうえで、現場に応じてほどよい倍力の数を適用するようにしましょう。
例えば次のような要領で始めると良いでしょう。
倍力にすると、前述の注意点にあげたとおり、荷掛時にフックを引き回し荷に近づける負担が倍力の数に比例して増えます。この負担を減らすには、動索を太くしすぎないことが効果的です。動索を細くすることで人力による負担が軽減されます。強度の問題もありますので、細すぎない適切な太さの動索を選ぶとよいでしょう。
以下の図は4倍力を使って横取りする例を示しています。
上図は以下のワイヤーロープを使用した例を示しています。
この例で強度を試算します。
このように動索に細いワイヤーロープ(Φ4mm)を使えば、取り回しの負担を減らしつつ500kgf程度までの運搬が問題なく行えることが分かります。
ほどよい倍力の数は、一括りに決められません。
それは、端(はな)上げの状態が、地形(傾斜の大きさ)と、荷の重さによって変わるためです。
そこで早見チャートを用意させていただきました。
傾斜(角度)と荷の重さ(搬器との相対質量)が分かれば、どんな倍力数が良いかが予想できるようになります。