下の写真に見られるように、下げ荷(谷方向への運搬)の場面においては、地面から浮かせて運びやすくすることは荷の暴走(滑落)を起こす危険が伴います。しかし下げ荷のニーズは、道が少ない日本の山林に普通に見られるものです。
動力1つで運用される軽架線システムは、これまで下げ荷の危険に対してなすすべがありませんでした。軽架線システムは重力に拮抗する力を仕持たない仕組みだからです。最近普及してきたスイングヤーダ(高性能林業機械の1つ)は2つの動力を拮抗させる仕組みを使って解決しました。他方、HANAKOは動力を増やさず、別の仕組みを使って解決しました。HANAKOは軽架線システムの可能性を広げる次世代搬器です。
■ 規模を追わず、安全・確実な仕事を望まれる方々へ
搬器にHANAKOを使った軽架線システムは、動力が1つで足りますので、設備費用を大きく削減することができます。
この軽架線システムは小運搬でも丁寧な仕事が求められる現場に適しています。寄りつきの悪い場所での危険木・風倒木の除去、集材路が狭く限定される山林での搬出に活用いただけます。里山・公園、境内、家屋を控えた場所などでの樹木・資材の運搬にもお使いいただけます。
大規模な集材業務には適していません。大型重機を持たない方でも安全に確実に荷を運搬できるように開発した搬器です。大型重機を入れられない場所で力を発揮します。
■ 斜面でも止まり、荷の昇降・移動ができる天井クレーン
HANAKOの運動性能は天井クレーンに似て、荷の昇降・移動の2つの運動を1つの動力で実現します。独自の制動機能を備えているため、搬器を停止させての横取りが可能になる他、下げ荷につきまとう荷の滑落・暴走が阻止されます。また空搬器が停止するため、荷掛け作業の手数・人数を減らすことができます。
軽架線システムにおいて、搬器(はんき)は荷の運動制御を担う、重要な構成要素です。
次世代搬器HANAKOは、荷重を利用した独自の制動機能を備え、1つの動力で複数の運動を可能にしました。軽架線システムのままで、荷を横取り・昇降・移動させることができるようになりました。
(参考)スイングヤーダ(軽架線システムではありません)は、搬器に運動制御を担わせず、2つの動力を制御して実現しています。
いずれの傾斜にも対応。水平運搬にも対応。
動力1つで運用でき、索張りは固定索(または主索、本線)と動索(または作業索)の2本だけなので単純です(軽架線に準拠)。
倍力なしでも端が上がります。障害物を乗り越え、接地摩擦を失っても荷が暴走・滑落しません。
空搬器を固定索上の任意の位置で停止できるため、傾斜地において繋ぎ止める必要がありません。
そのため空搬器移動と荷掛けを1人で行うことができます。
大型重機を使わず、傾斜地にて容易に設置・運転できるよう開発されました。
使うごとに制動部品が消耗します。この制動部品が安全をもたらします。
固定索:元柱と先柱をつなぎ、レールのように搬器を支持するロープ。
動索:動力から搬器を介して荷につながれ、動力を伝えるロープ。
動作原理は同じですが、HANAKO 300とHANAKO Miniとでは使用荷重が異なります。
動力の持ち方も違うため、設置負担が異なります。
HANAKO 300 |
HANAKO Mini | |
使用荷重 |
150kgf(1500N ) 小規模の運搬に向いています |
50kgf(500N ) ごく小規模の運搬に向いています |
動力 |
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設置負担 | 索張り・動力の設置を含めて半日~1日を要します。 | 索張り・動力の設置を含めて1~2時間程度を要します。 |
HANAKO 300 による下げ荷集材
弊社試験林(斜度20度)での下げ荷の試験の映像です。途中の様子をズームおよび倍速で再生しています。
HANAKO Mini の設置と使用方法
HANAKO Miniの導入のための紹介動画です。
架線の設置 → HANAKO Miniの設置 → 操作方法 → 機材一覧 の順にご説明します。
HANAKOはこれまでの軽架線用の搬器の動きと全く異なります。
荷重を使った制動機能により、1つの動力を昇降と移動の2つの運動に切り替え、あたかも天井クレーンのような働きをします。
天井クレーンの機能を、架線に乗せて傾斜がある露天(屋外)で実現したのがHANAKOです。
HANAKO 300の図で説明します。HANAKO Miniも共通です。
HANAKO 300の図で説明します。HANAKO Miniも共通です。
上げ荷、下げ荷の動画はこちら
HANAKO 300の図で説明します。HANAKO Miniも共通です。
HANAKO(ハナコ)の名前は、姿が象の頭部に似ていることに由来します。
HANAKO 300の図で説明します。HANAKO Miniも共通です。
HANAKOは動力1つで、2つの運動=「荷の昇降」と「搬器の移動」を切り替えられるよう、制動を制御するしくみを備えています。
制動力は荷重から生まれ、制動のオン・オフは荷の位置で制御されています。
この制御を実現するために電気や油圧を使っていません。手動や遠隔からの制御も行っていません。
それ自体で機械的に動作していますので、しくみを知っていただければ応用を広げていくことができます。
このしくみは弊社が特許を取得しています(国内特許:取得済み。海外特許:出願中)。
無断でHANAKOを複製したり同じしくみを使って製品を作ることは権利侵害となりますのでご注意ください。