作業道が台風に被災しました
先月のお盆の時期(2023/8/15)に上陸した台風7号が試験林の山が被災しました。この図は進路予想図ですが、予報どおり山(岐阜県美濃市)に相当な雨量をもたらしたようです。
この影響で試験林に至る作業道がところどころ壊れましたので、2018年から5年ぶりとなる補修を行いました。
補修のBefore/After
以下順に、①踏み板、②洗い越し、③橋のたもと、④わだち、のそれぞれの補修Before/Afterを紹介します。
(注1)補修すべきカ所はまだ他にもありますが、今回の補修は車両が通過できるようにするための応急処置に留まりました。
(注2)写真の表記について
Beforeは被災直後の姿です。被災前ではありませんのでご注意ください。
Afterは補修後の姿です。
①踏み板の補修
このあたりはぬかるむので合板をつないで路面にしていました(軽車両ならOK)。
合板の下にできていた穴ぼこが大きくなり、車重で合板を突き破るほど緩くなっていました。
(右上)穴ぼこに石を埋め、合板を重ねて補強。
(下)水流の勢いで合板の下に潜り込んだ枝条や土砂を取り除き、ワイヤーで合板を繋ぎ直しました。
②洗い越しの補修
洗い越し(あらいごし)とは水路を越える場所をいいます。通常は水路を横切ることをいいますが、ここでは川底(本流+支流)を斜めに通過するため、距離が長めです。
洗い越しが堆積と穴ぼこで通過不能になっていました。
堆積(原因)と穴ぼこ(結果)は隣り合わせに発生します。堆積を越えた水が地面をたたき、滝壺のようにえぐるためと思われます。
堆積ができたきっかけは径5センチほどのサカキでした。根がついたまま水流で倒れ、そこに次々と流木と土砂が貯まり、堰になったようです。
すぐ上の2枚の写真は穴ぼこ①(手前側)の補修。
すぐ下の2枚の写真は穴ぼこ②(奥側)の補修。
堆積残のところが小山になっていますが、どうにかオフロード車(4輪駆動車)で通過できるようになりました。
③橋のたもとの補修
コンクリートで作った橋は無事でしたが、手前が崩れて車両が通過不能に
原因は橋の上流側が枝条と土砂で詰まったことでした。たまに橋の下を掃除していたのですが、今回の台風の大量の土石流を通しきれなかったようです。溢れた水流は袂(たもと)をえぐり、さらに岸を壊しました。
以下の流れで処置しました。
①岸に壁を立てる
②壁の内側とえぐれを石で埋める
③上流側の土砂の除去
川を渡してつっかい棒にした丸太は、道が固まるまでの補強です。
橋の上流側の土砂は、開口が広がるまでもう少し取り除く予定。
④わだちの補修
これが今回補修分の最後です。Before(被災直後)の写真がなく、After(補修後)のみの写真となりすみません。
元々轍(わだち)はできていたのですが、激しい水流で深くえぐられ、オフロード車であってもタイヤがはまるとスタックしかねないほどの深い轍になってしまいました。5年前の工事では右側の轍には石を詰めていましたが、左側の轍は対策を疎かにしていたことが判明しました。5年前の認識レベルが低かったことを思い知らされました。
残念ながら補修できなかったところ
今回の台風で一番大きく壊れたところがここです。大きな水流に遠心力が加わって岸辺を洗い流されたようです。崩壊した土砂はあとかたもありませんでした。補修が大規模になるため、今回の補修では見送りました。
幸い軽車両が通る道幅は残っていますが、時間の問題ですので早い時期に対処が必要です。
枝道が始まるすぐのところに大きな穴ぼこができました。元は橋がかけられ奥に行くこともできたのですが、復旧せず現在に至ります。枝道の奥のほうは使っていないため橋を補修する必要はありませんが、手前側はUターンや駐車スペースとして有効なので補修すべきか迷っています。
後記
5年間補修せずに済んだ作業道が、今年は台風7号(2023/8/15)にあい、車両が通過できないほどに壊れました。
2018年の台風21号(2018/9/4 近畿と中部を通過)のときほど酷くはならないだろうと、長良川の水量などからたかをくくっていたら、そうではありませんでした。局所的に2018年を上回る雨量があったのかもしれません。
水の力を思い知りました。
水から守るのは石ということも痛感。
とにかく大きな石を集めようということで、石ををかき集め、運んだことが一番の労作業となりました。
しかしこの山には石が十分にあり、外から調達する必要がなかったのは幸いしました。
真砂土(まさど)ばかりで石が出ない地域もあると聞きますが、恐らく補修の大変さはこの比ではないと想像します。
工数など
さて今回の工期は、
9/9 踏み板の補修 1人日
9/10 洗い越しの補修 1人日
9/16 橋のたもとの補修 3人日
9/17 わだちの補修 3人日 でした。
▶使用した道具類
軽トラック、エンジンウインチ(+繊維ロープ+滑車)、手動ウインチ、チェーンソー、木材トング、巻き尺、インパクトドライバー、電動グラインダー(+切断砥石)、げんのう、ハンマー、ペンチ、ツルハシ、クワ、スコップ、シャベル小、モッコ、一輪車、ベルトスリング、シャックル、ラダー、バケツ、ブルーシート 他
(念のため、バックホウなどの重機は使いませんでした)
▶購入した資材
コンクリートブロック、角杭、針金、異形鉄筋、コークスクリュービス、セメント、砂、ワイヤーロープ(骨材のため使用済みのもの)
▶現地調達した資材
石、丸太、水
▶協力
後半の2日間は、試験林をイベントで利用するSTUDIO385(建築事務所)から2人協力の申し出をいただきました。山の土工作業に興味を持ち、一緒に汗を流していただいたことは感謝しかありません。
ブロックを積むための、生コンクリートを作っている様子です。