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1メートルの丸太からミニテーブルを作ろう

今回は、スギの丸太からミニテーブルを作ります。

サイズは天板が30センチ×80センチ、高さ75センチです。

アウトドア、屋外活動のためのちょっとした置き場所としてミニテーブルはいかがでしょうか。

鉢植えやとれたて野菜、バーベキュー食材など、ミニテーブルの用途はさまざまです。

これから作るミニテーブルは100%無垢材です。

既製品が持たない、自然な風合いがその場所に馴染んでくれるはずです。

このミニテーブルを作るのに、径が30センチ、長さ1メートルの丸太を使います。

これは林内に切られて残っていたスギの原木で、当然ながら未乾燥です。

他の樹種でも、乾燥状態に関係無く作っていただけます。

 

所要時間はチェーンソーと木工用の工具を使って2時間ほどです。

簡単にできるので制作過程と使用した道具を後でご紹介します



1.カットする

スギ丸太は皮を剥いてから使います。

皮剥きにはスクレーパーが便利です。

好みですが、後になって剥がれるならはじめに剥いておいたほうがいいからです。

 

丸太は径が30センチ。長さ1メートルのところで切ります

このチェーンソーは スチール MS261、

排気量は50cc、ガイドバーは45センチです。

切る量が多いので、大きな排気量のチェーンソーが効率的です

上下を平に削った枕木が2本あると便利です。

後の組立作業においても、平面があると作業しやすくなります。

 

丸太の転がり防止に木のクサビをはめました。

※転がり防止には丸太バイスを使ってもかまいません。

クサビには丸太を1/6か、1/8にケーキカット(放射状に切断)したものが車止めのように収まりよく使えます

ここからチェーンソーによるカットを始めます。

安全のため丸太を丸太バイスに固定し、直立させてから行います

参考までに一連の流れを補足します(森の機械HPから)。

丸太バイスは森の機械の立介Ⅱ(たちすけつー)を使用しています

立介の仕様では最大28センチまでとなっていますがこのように切り欠きを入れると、30センチの丸太を固定できるようになります。

 

また下から20センチ分は使用しないため、バイスが掴めるように切り欠きを入れても作品に影響ありません

ミニテーブルに使用するのは上から80センチの分だけです。

下端の20センチはバイスに固定する分ですので、使いません。

 

ソフトチョークで80センチの所を一周マーキングしておきます。

ソフトチョークは柔らかく砕けやすいですが、濡れた木にも描くことができます。

 

この後、チェーンソーで上から切り進めるわけですがこの線を目指して切り進めます。

丸太バイスに当てないための予防線の意味もあります

木口にもマーキングしておきます。

ここで描くのは部品になる板の断面の姿です。必要な全ての部品の断面がここにレイアウトされます。

 

チェーンソーによる切しろ(切り幅)も考慮しておきます。

チェーンソーでカットしながら、凹凸や厚みの修正を都度行いますので、切りしろは最低1センチぐらいを見込んでマーキングします。

 

つまり、凹凸や厚みの修正によって結果的に、板厚が薄くなることを見込んでおく必要があります。

 

板の厚みは好みですが、30ミリ~50ミリの間が扱い易いようです。

これよりも薄いと厚みのムラが目立ちやすくなり、また組み立ての際に接合部のビスが飛び出しやすくなります。

また厚すぎると材が重くなって運びづらくなります。厚みは好みですが、どうぞご注意ください。

 

欲しい板厚と切りしろを念頭におき、全ての部品をここに詰め込みます。

チェーンソー木工の妙味を感じていただけたら幸いです

各領域が部品ごとの断面になるわけですが、それぞれがどんな部品になるか予め申し上げておきます。

  1. 中心部の長方形が天板
  2. 周囲の4つの三角形が脚
  3. 三角形に挟まれた長方形は支持板に使用します
  • うち2枚は側板に、1枚は底板になります
  • 合計4枚ありますが、残り1枚は使いません

またカットする順序を決めておきます

  1. 1番目は天板です。両面を切り終えたら下端を突っ込み切りして丸太から外します
  2. 2番目は脚4本です。天板が外れていますので、2本ずつ切り出すことができます
  3. 最後は支持板の4枚です

天板のみは、下端を突っ込み切りして丸太から外します

ではチェーンソーを入れていきます。はじめに切り出すのは天板です。

上端の木口からできるだけ真っ直ぐに切り下ろします。

下限の目標線を少し超えたところでストップします。

 

反対側に回って、厚みに偏りがないかチェックします。

厚みの修正とともに切断面をなぞるように動かして凸凹をとっていきます。

厚みに明らかな偏りがあるときはこの段階で修正しておくのがよいでしょう。材が固定されているため面を出しやすいからです。

天板の両面を切り終えたので、下端を切って丸太から外します。

突っ込み切りになりますですので、注意深く刃を入れます。

突っ込み切りが必要になるのは天板のみです

続いて、脚4本をカットし、支持板4枚をカットすれば全カット終了です。

この写真は支持板をカットしている途中のものです。

 

脚と支持板はいずれも天板と同じ長さ=80センチのところで切っていますが、組み立てのときに必要な長さにもう一度切り落とします

以上で部品は全て揃いました。全て並べるとこのようになります。

使用するのは手前側だけです。奥は端切れとなります


2.組み立てる

まず天板を枕木の上に置きます。

 

そして支持板の中から底板にする板を選びます。

生木は切った直後から少し反りが入ります。ここでは反りの少ないものを底板に選びました。

 

底板を天板の上に、ちょうど中央に来るように置き、底板の縁にそってソフトチョークでガイド線を描きます

今見えている天板の面は裏側、つまり下側になります。

このガイド線の外側に脚が配置され、底板は脚に挟まれる形になります

脚の位置を決めたら、ソフトチョークでガイド線を描きます

脚の位置が決まったので、側板にもマーキングしておきます。

 

側板は脚と一体となって天板に固定されます。

側板を天板に平行に並べ、脚の位置を示すガイド線を側板にも写します。

 

この線は脚を固定するガイド線になります。

側板は2本の脚の幅の分だけ使いますので、余尺は後で切り落とします

この後で、脚はガイド線に外側にビスで固定されますので、ついでにビスの下穴を空けておきます。

 

ビスは各脚に2本ずつです。

下穴は必須ではありませんが、ドライバーが力負けして入っていかないことがあるため、下穴があるに越したことはありません。

 

木に厚みがあることと、生木は水分を含んでいるため摩擦力が大きく、柔らかそうに見えて案外ドライバーを力負けさせる抵抗力を持っています

次に脚を切って長さを揃えます。

長さは好みです。ここでは70センチの長さに揃えて切り落としました。天板の厚み4センチを加えた74センチになります

 

念のため寸法精度ですが、土場などの未舗装地で使う分には1センチ程度の脚の不揃いはほとんど問題になりません

さて次は、側板に脚を固定します。

ここからビスを使った作業がはじまります。

 

ビスは脚ごとに2本ずつです。

 流れ的には、2本の脚を側板に固定したものを2セット作り、それらを天板に固定するという具合です。

 

ここで使っているビスは全て65ミリです。貫通する手前の板厚が30~40ミリのため65ミリにしました。

ビスの長さは板厚も踏まえて決めると良いでしょう

側板に脚が固定されましたので、側板の余尺を切り落とします。

余尺とは脚の外側にはみ出した部分です。

 

これで側板と脚が一体化したセットが完成しました

次に側板と脚が一体になったセットを天板に固定します。

出来上がりの姿を先に示しておきます

天板は裏面が上を向いた状態で置かれていますので、ここにセットを置きます。

側板はガイド線の内側に来るようにします。

脚が天板の縁をはみ出していないことをチェックください

脚と天板を直角に接合するため、ビスは斜めに打ち込みます。

斜め方向だと入口がぶれやすいので、下穴は必須です。

 

ここで使用しているビスは65ミリです。ビスが天板に十分な深さで届き、そして天板を突き抜けないよう、入口の高さや角度に気をつけます

手前の脚が少し開いていますが底板を固定すれば真っ直ぐになります。

次は底板の取り付けです。底板が最後のパーツになります。

底板を付けることで脚の曲がりは修正され、全体の強度も増します

まず底板の取り付け位置をマーキングします。

位置は好みですが、ここでは天板から50センチの所にしました。つまり地面から20センチの所になります。

 

そして底板の厚みを踏まえ、4本の脚すべてに下穴を付けておきます

最初に下穴を付けておけば、下穴ドリルとドライバービットの交換の手間が省けます

ミニテーブルを横倒しして、底板を脚の間に入れます。

脚に圧迫されて底板を動かしづらいときは、げんのうで叩いて位置を変えます。

 

ビスは脚の外側から打ち込んでもかまいませんが、ビスの頭を隠したかったので敢えて内側から斜めに打ち込んでいます。

 

脚が開いて底板と密着しないときは、体重をかけて密着させて、ビスを打ち込みます

底板のはみ出した部分をチェーンソーでカットします。

はみ出しをカットするかどうかは好みです。

 

さあ、とりあえず完成です

補足ですが、ここに側板をさらに付けて補強するアイデアもあります。

これをするには、余った支持板を使います。

今回は強度的に問題ないと考え、省きました


3.仕上げをする

この先の作業は好みです。

天板の角を落とします。怪我防止の一工夫です。

 

そしてこのように天板の表をチェーンソーで小さな凹凸を削り、平面に近づけます。

製材所の仕上がりには到底かないませんが、十分な平面を得られるかもしれません

角の面取りはナイフが便利です。

チェーンソーで面取りするとボソボソに毛羽立つため、ナイフのほうがきれいに仕上がります

アラカンも面取りに便利です。

アラカンはとくに狭い所や、前後左右が干渉するような所でも小さなストロークでしっかり面を落とせますので重宝します。

 

ただし目詰まりを起こしやすいので、使用後の削りくずの掃除が欠かせません。

 

こうした面取り作業は意外と時間をとりますし、終わりのない作業になることがあります。

仕上げをきれいに行いたいときは、組み立て後の仕上げ時間をしっかりとっておくようにします

仕上げも含め、完成しました。

所要時間は2時間ほどです。

内訳は、丸太の切り出し~組み立て完了まで 1時間30分

仕上げに30分です


工程のおさらい

おさらいのため、パーツの位置と接合部を改めて整理します

丸太は径30センチ×1メートル。

これは丸太の木口の姿。

天板を最初に切り出すのがポイントです

丸太を真っ直ぐ切るには丸太バイスを使って直立させることが大事です。

ただし丸太バイスの口金にチェーンソーを当てないよう、固定部分の長さをとっておくことをお忘れ無く

これは部品の一覧です。

長さが全て80センチですが、組み立ての過程で必要分をカットします

天板の接合部です。

ビスの頭が目立たないよう、隠れたところから打ち込んでいます

側板と脚の接合においても、ビスの頭は内側に隠しています。

脚と側板の接合を最初にしておかないと内側から留めることはできません

底板と脚の固定はこの通り


使用した道具・図面

使用した道具を紹介します。

ここには出ていませんがチェーンソーはスチールMS261(排気量50cc、ガイドバー45センチ)を使用しました。

 

丸太を立てたチェーンソー作業には、安全のため丸太バイスをお使いください。

丸太バイス立介(たちすけ)は当HPにて商品情報を掲載しています→立介のページ

 

以下に一覧にてご紹介します。※は仕上げ用です

チェーンソー カット量が多いため50cc以上がおすすめ
丸太バイス 丸太を直立固定します
木材トング  
インパクトドライバー  
  プラス(+)ビット  
  ドリルビット 3ミリ、下穴あけ用
ビス 65ミリ 30本以上ご用意ください
ソフトチョーク  
トレー  
コンベックスメジャー  
スクレーパー 丸太の皮剥き用
ほうき おが屑を払います
げんのう 材の位置調整用
※ナイフ アウトドア用または切り出しナイフ
※アラカン ナイフまたはアラカンのいずれかがあればOK

簡単で恐縮ですが、板取りと組み立て図面をお示しします。

こちらの図面は森の機械HP>立介のページでPDFダウンロードできます。

→立介のページ

手順を動画でご覧になりたい方はこちら