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県外の古くからの友人から「チェーンソー木工は面白そうだ」と伝えられて気が弾み、梯子(はしご)作りをやってみました。チェーンソー木工はチェーンソーアート(チェーンソーカービング)のように高度なチェーンソー技術は要求されません。また木工が極める繊細な技術も要求されません。尖るほどの技術はまだなくてもただ「役に立つものを作りたい」「できれば手っ取り早く作りたい」モノづくり好きの人にはぴったりです。始まりはそんなものではないでしょうか。チェーンソー木工の輪はこれから広がります。
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古風な感じの、木製の超頑丈な梯子ができました。今時ホームセンターにはこんなゴツいものは置いてありません。携帯性はともかく常設のものとしてであれば十分用を果たします。
ここでは、一本の丸太から梯子を2脚作る手順を解説します。
必要な材料は、小径木の丸太です。今回は末口16センチ×長さ210センチでした。
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丸太バイスの立介(たちすけ)を2台使い、丸太をクランプした状態で宙に浮かせます。写真は奥が立介II(つー)、手前が立介です。
この作業は、丸太を掴む道具「丸太トング」があると便利です。トングがあれば片手で丸太を持ち上げ、立介の口金に近づければすっと収まってくれるので、セッティングを素早くできます。
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念のため丸太トングはこんな姿をしています。アマゾンでも購入できるようです。
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転がすと、高さを変えることができます。丸太トングで掴むと簡単に回せます。写真は、最初の姿から90度時計回りになっています。
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今回はあと90度時計回りさせて、丸太を高くしてチェンソーを上から当てました。私には、これぐらいの高さが腰に負担が少なく切れるようです。縦挽きを2列全長に渡って入れているのが確認できるでしょうか。間隔は中央の(踏み板になる)幅はアバウトですが3~4センチです。人によるかもしれませんが、真っ直ぐ切るにはチェーンソーを上から振り下ろす感じの入れ方がいいみたいです。
使用したチェーンソーはスチールMS261(排気量50CC)です。縦挽きでもこれぐらいの材料はすっと切れるので気持ちがいいです。
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口金に近いところのチェーンソー作業は気を使うところです。キックバックにはくれぐれも注意ください。ソーチェーンが口金にあたると一発で切れなくなります。研ぎ直しは面倒です。
今回はチェーンソーを立てて切りましたが、丸太を90度回転させれば横向きにバーを入れられるのでそこまで神経を使う必要はなかったかもしれません。
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寸法を入れます。今回は踏み台の幅が30センチ。段差も30センチ。両端に10センチほどの余尺をつけて、全長にわたって印を入れます。
起点のところは巻き尺が引っかかりやすいよう、チェーンソーで切れ込みを入れておくといいです。
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印のところにチェーンソーを軽く当てます。この後ペンは使いません。
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この丸太から2脚作りますので、切り分けました。今回は同じ長さにするため真ん中の切れ目のところで切りました。
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これが断面です。少し外側に反っているのがお分かりでしょうか。切ったそばから反っていくというのは生木の特徴ともいえます。
ここから1脚ごとの作業
もう1脚も並行作業で進めていますが、写真は1脚ごとの姿です。
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立介をはずし、チェーンソーが切り残した部分をクサビで割ります。
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割った箇所はデコボコになりますが仕方ありません。
後でチェーンソーを使うときにこの程度のデコボコはすぐに修正できますので放っておきます。
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中央の板(踏み板にあたる)を立介で水平にクランプし、枕木で高さを作ります。予めチェーンソーで切れ目を入れたところが残っています。
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切れ目のところで、切ります。使用するのは30センチ×3枚の板です。立介にクランプされている残りの板は使いません。
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外側の2枚の板(側板)に、踏み台をはめ込むミゾを彫ります。これも、立介でクランプしておくと材が固定されるためチェーンソー作業がしやすくなります。
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ミゾの位置は最初にチェーンソーで切れ目を入れた箇所です。ミゾは板に対して直角に、踏み板の厚みに余裕をつけた幅に対して印をつけておくと間違いが少ないです。
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チェーンソーの回転数を抑え、そーっと当てる感じでミゾを彫ります。滅多にしませんが回転を抑えてもチェーンソーは十分切れることが分かります。ノミで彫るより10倍以上速い(スピードだけですが)と思います。
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出来上がりのミゾを横から見た姿です。だいたい1~1.5センチの深さです。浅すぎると踏み板が外れる心配があるためこの程度の深さがいいと思います。ミゾを彫ったところが強度的に弱くなるため、外側の板(側板)の厚みは5センチ以上あると安心です。厚い分には強度的に安心ですが、重くなってしまうことも留意ください。
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2脚分のパーツが完成しました。
引き続き、1脚ごとの作業の様子をご覧に入れます。
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両端の踏み板を立てて、側板をミゾがはまるように載せます。好みですが、踏み板が少し手前に出るようにします。こうすると梯子に裏表の区別ができてしまいますが、踏み台が少し飛び出している表側は足をのせやすいメリットがあります。また裏側は立木に立て掛けるときに側板の出っ張りが転倒を防止してくれます。
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踏み板と側板の接合にはビスを使います。今回使用したのは65ミリです。またインパクトドライバーはこうしたチェーンソー木工でも重宝します。木材の状態によってはビスが最後まで貫通しにくいときがあるため、下穴空け用に3ミリぐらいの木工ドリルビットがあるといいでしょう。下穴の深さは表層から数センチ程度でいいと思います。
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ビスの本数は、踏み板一枚ごとに左右2カ所づつです。ビス2本で止まることでガタツキがなくなります。
ですが、もう一枚の側板を付けるまでは全体バランスの観点から、まずは1本づつで止めています。
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踏み板がビス1本ずつで、片側の側板に固定されました。
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固定済みの側板を下側にして、立介でクランプします。もう片側の側板を載せ、これから固定します。ビス本数は各踏み板に対して2本づつです。
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こちらは梯子の裏側になります。立木に立て掛けたときに、側板の出っ張りが転倒防止の役目を果たしてくれるため、敢えてこうして踏み板の位置をずらしています。これは好みです。
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(注意)ビスを打つとき、ミゾに対して踏み板の下側にスキマを作らないよう気をつけてください。踏み台に繰り返し体重がかかることでビスが引っ張られてガタツキを起こす原因になります。
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スキマが上になるようにビスを打ちました。これで安心です。
この後、反対側(最初に固定した側板)に2本目のビスを打ちます。ミゾと踏み板のはまり具合を左右確認しつつ、ビスの打ち漏らしがないようにします。
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以上で完成です。2脚の長さがちょっと違い、片方は110センチ、もう一方は102センチでした。
※しっかりと中心を測って寸法を入れていませんでした。この程度の偏りを問題にせず製作しています。
後加工編
ここから先は好みですが、梯子としての強度には関係なく見た感じや触感を追求した加工になります。実は上の写真も少し後加工を施してしまっています。
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完成の直前、立介でクランプした状態の続きで、以下の後加工を行います。
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立木に立て掛けることを想定し、梯子の裏側の踏み板をチェーンソーで削りました。どの程度の曲率が適切なのか見当がつきませんので適当です。この作業も、立介で固定した状態で進めるのが安全です。片方の側板だけ固定しただけでも安定した状態になります。
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側板の角をチェーンソーで落とします。ここは掌が当たるところなのでおすすめです。
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踏み板の表側の角をチェーンソーで落とします。
立介で固定した状態で直立させれば、ついでの作業でできます。とにかく角は邪魔なだけですから落とします。
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次はナイフを使った面取りです。チェーンソーの切り口はバリが出るため、バリ落としにはこうしたナイフが役立ちます。鋭角になったところもナイフで削ります。
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裏側ですが持ち運ぶときに掴む位置になります。ナイフで面取りしておくと感触が改善されます。
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踏み台を出っ張らせた場合、一番最初に壊れるのがここです。出っ張った部分がもげ落ちやすくなっていますので、ビスを打ち込んでおきます。各踏み板に2本ずつです。
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完成です。手前は表向き、奥側は裏向きにしています。
手順は以上のとおりです。
所要時間は、写真を撮りながらでしたので5時間程度かかってしまいましたが、実質時間はたいしたことありません。後加工無しなら2脚まとめて実質90分(1.5時間)程度。後加工を入れると合計3時間程度を見ておけばよいかと思われます。
おさらいとして、使用した道具と材料を一覧にしておきます。
- 丸太バイス×2台・・・立介と立介Ⅱ(サイズが同じなので混ぜて使ってもOK)
- 丸太トング
- スクレーパー(樹皮を剥きつつ丸太の泥を落としておくと、チェーンソーの刃が守られます)
- チェーンソー 50cc ・・・スチールMS261
- 油性ペン
- 巻き尺
- クサビ
- げんのう(金づち)
- アウトドア用ナイフ(切り出しナイフで十分)
- インパクトドライバー
- 65ミリビス
- +ドライバービット
- 木工ドリルビットΦ3ミリ(下穴空け用)
- (補足)小径木の切れ端・・・本文で触れませんでしたが枕木になるような小径木の切れ端があると何かと便利です。
丸太バイス 立介(たちすけ)のご案内
番外編
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1脚は川岸の上り下りに使うことになりました。たった1m程度の段差ですが、梯子があると大分とラクになりそうです。もう1脚は作業道の法面に置いて林内への出入りに使う予定です。
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これは少し前に作った210センチの梯子です。これを作ったときに、半分ぐらい短くても使い道があることに気づきました。