HANAKOの開発背景について

軽架線の下げ荷を安全に

 

下げ荷(谷方向への運搬)は牽引方向が重力方向と同じになるため、荷の滑落リスクをともなう運搬作業です。しかし林道・作業道の整備が遅れた山林では下げ荷の場面が必然的に多くなります

 

 

開発背景

 

動力1つで運用される軽架線は、これまで下げ荷の危険に対してなすすべがありませんでした。軽架線は重力に拮抗する力を持たないからです。最近普及してきたスイングヤーダ(高性能林業機械)は2つの動力を拮抗させて下げ荷を安全にしました。しかし2つの動力が拮抗するよう同調させて動かす必要があるため、高度な制御技術を実装した、重装備かつ高コストな機械とならざるを得ません。

 

他方、弊社は動力を増やさず、搬器の機能拡張によって解決する方法を選びました。荷重を使って重力に拮抗する力=ブレーキ力を発生させ、この力のオン・オフを機械動作のみで行えるようにすれば、2つめの動力が要りません(搬器の動作原理は国内特許取得済み、海外特許申請中)。こうして搬器の運動性能を上げることで、全体としては軽架線の装備のまま、つまり軽装備・低コストで下げ荷の危険を回避する道が開かれました。また同じ動作原理が上げ荷にも問題なく応用できる(傾斜に関係なく同じ動き方をする)ことや、地引運搬のみならず空中運搬を可能にすることも分かりました。こうして開発された搬器がHANAKOです。

 

HANAKO 300,軽架線,搬器

 HANAKOは動力1つで上げ荷・下げ荷のいずれの運搬方向においても、横取り・昇降・移動ができる、軽架線用の搬器です。

 

HANAKOの動きはクレーンにたとえられます。搬器を停留させて荷掛け・荷外し・横取りができ、端上げ地引運搬または空中運搬をこなします。また荷の滑落が危険な下げ荷においては、飛び出そうとした(HANAKOから離れようとした)荷を瞬間に制止します。

 

これらの性能はHANAKOが内蔵する自動ブレーキに基づいています。ブレーキは電気や油圧を使わず、荷重により機械的に働きます(テコの原理を使っています)。そのため目視で動きや状態を確認することができます。スイングヤーダ(高性能林業機械)のようにブラックボックスになった制御のしくみを持ちません。動力は1つだけですので、設置するロープも少なく、全ての装備を軽トラックに積み込んで始めることができます。しくみが単純で分かりやすいため、運転要員の確保・育成にも困りません。

 

 

林業を専門としない方の、軽装備・安全な運搬手段として

 

こうした単純さのおかげで、HANAKOは林業を専門としない土木業・造園業・特殊伐採業・林産業など様々な方面で使われはじめています。主な用途は、寄りつきの悪い場所での危険木・倒木・流木の除去、経路が限定される場所での林産物・資材の運搬などです。使われる場所は、道のない里山、重機を入れられない自然公園、境内・家屋などの人工物を控えた斜面などが主です。こうした用途や場所で、HANAKOは軽装備・安全な運搬手段として活躍しています。

 

反対に、林業の皆伐現場のように大量に木材搬出を行う場所には適していません。HANAKOは軽トラックしか寄りつけないような場所で力を発揮します。

   

 

▶ HANAKO A2ご案内のリーフレット(PDF)はこちら。

▶ 軽架線のガイド(PDF)はこちら。


HANAKO 旧シリーズ

 

 

HANAKO 300/HANAKO Miniについて

HANAKO A2発売にともない、いずれも生産中止しました。性能が近いHANAKO 300はより軽量で機能が増したHANAKO A2に代替することとしました。HANAKO MiniはHANAKO A2が同程度に軽いため明かな優位性を訴求することが難しくなりました。ご検討されていた方には申し訳ございませんが、勝手ながら生産中止の措置をどうかご容赦ください。改めてHANAKO A2をご検討いただけますようお願い申し上げます。

 

なおHANAKO 300/HANAKO Miniへの消耗品(制動部)の供給は継続しています。