運搬方法によって特別教育のメニューが違います
ロープと動力を使って木材を運搬する方法は様々です。
林業の世界では、起伏のある林内での作業になりますので、平地や道路で行う運搬と区別し、「集材」と呼ぶことが通例です。
林業が専門ではない方々にも分かるよう、ここでは一般用語の「運搬」という言葉を使わせていただきます。
さて運搬方法によって必要になる特別教育のメニューが違いますので、以下に3つの運搬方法をイラストでご紹介します。
イラストは全て地面の傾斜を無視して描いています。
詳細を省いて描いていますので、必要な機材の多さや機材に要求される性能の違いをイメージしていただければ幸いです。
①ベタの地引き運搬
動力にロープウインチ(ポータブルウインチ、エンジンウインチともいいます)を使い、ロープ一本で運搬する、一番単純な方法です。
②端上げによる地引き運搬
荷の端を持ち上げて運搬すると、障害物を回避できるようになります。このように端を持ち上げることを端上げ(ハナ上げ)と呼びます。ただし、荷を持ち上げるには固定索や搬器といった追加の機材が必要になります。
③空中運搬(宙吊り運搬)
機材の構成は端上げ運搬に近いですが、固定索や搬器に全荷重がかかって負担が大きいため、より大型の機材が必要になります。また荷の昇降と移動の動きがしっかり分別されて行われるため、搬器や動力の性能がより高度化します。
(用語)
固定索:2本の立木の間に張り、レールのように搬器を支持するロープ。本線とも主索とも呼ばれます。
動索:動力から搬器を介して荷につながれ、動力を伝えるロープ。
特別教育のメニュー
以上のとおり主な運搬方法を3つ上げましたが、安全に行うための特別教育が用意されています。
対応する特別教育(実行のために必要な資格)は、「機械集材装置の運転」と「簡易架線集材装置の運転」の2種類があります。
基本的には次の系統図のように、大別する要件として、支柱(固定索や動索を取り付ける立木)を使うかどうか、そして固定索を使うかどうかを上げています。これらの要件が大前提となって運搬方法が決定される、という考え方です。
ざっくりとしたイメージでいうと、「機械集材装置の運転」のほうがより大掛かりな運搬方法に対応しているとお考え下さい。
要件から運搬方法を整理していくと対応する特別教育がはっきりします。
結論的にいえば、
①ベタの地引き運搬には、特別教育「簡易架線集材装置の運転」の受講が必要になります。
②端上げ地引き運搬と③空中運搬には、特別教育「機械集材装置の運転」の受講が必要になります。
いずれの特別教育も2日間の受講が課されています。
お仕事の内容が、①ベタ地引きの範囲に留まりそうであれば「簡易架線集材装置」を取得し、それを超えたものになるのであれば「機械集材装置」を取得するとよいでしょう。言い換えれば、「機械集材装置」を取得すれば①~③の全てがカバーされます。
なお、前述したように②と③は機材の規模感が異なります(③のほうがより大掛かり)が、特別教育としては同じメニューで大丈夫のようですね。
特別教育の受講の方法
特別教育は、林災防(林業・木材製造業労働災害防止協会)が行っております。
http://www.rinsaibou.or.jp/
スケジュールは「講習・研修」ページに案内されています。
実際の講習は、林災防の各県の支部が実施しています。
スケジュールや受講料はお住まいのある支部にお問合せください。
図は、林災防サイトの特別教育「機械集材装置運転業務」のスケジュールの一例
特別教育に関連した詳細資料
運搬方法のより詳細な分類方法や、特別教育の詳しい根拠などを知りたい方は、こちらの厚労省ホームページをご覧下さい。
上記の3つの運搬方法の他、タワーヤーダやスイングヤーダなどの高性能林業機械を使用する場合も含めた体系として説明がなされています。ご自身の行われる運搬方法が上記の3つのいずれにも該当しない場合は、こちらでご確認ください。
搬器HANAKOで可能な運搬方法
搬器HANAKOを使用すれば、上げ荷、下げ荷のいずれの場面においても②端上げ地引き運搬、③空中運搬のいずれも可能となります。
簡単な索張りと、動力1つで運用することができるのが大きな長所です。
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